2018年02月07日

実は天然の石鹸!? ~ ムクロジ ~

日本ではお正月気分も抜け…もう 2 月ですが、 中国は 1 月 28 日から旧正月で賑わいを見せていますね。そこで今回はお正月を振り返って。。。。羽子板に使われているムクロジの実についてお話ししたいと思います。

皆さま、お正月はどのようにお過ごしになられましたか。温泉めぐりが趣味の私は、静岡県にある川根温泉に家族で行ってきました。大井川鐵道のSLを見ながら露天風呂に入るというなかなか贅沢な体験をしてきました。
温泉成分たっぷりの高張性のお湯もよかったです。

その道すがら、羽子板で遊んでいる子どもたちを見つけました。最近羽子板をすることも少なくなりましたが、お正月気分らしいすてきな光景でした。失われつつある昔ながらの風景、いつまでも残していきたいものですね。

ところで、羽子板の羽根の先についている黒い玉、実は植物の実であることをご存知ですか。羽子板の羽根には、ムクロジという植物の実が使われています。このムクロジは、庭園樹として公園などでも植栽されている、私たちの生活に身近な植物です。わが家の近所の公園でも、丸い半透明の果皮に入ったムクロジの実を、どんぐりと一緒に拾っている子どもたちの姿をよく目にします。 

 

~ムクロジ~の植物成分

ムクロジの果皮の部分には滋養強壮、止血、消炎効果があるとされ、かつては生薬「延命皮(エンメイヒ)」として使用されていました。しかし、この延命皮はサポニンを多量に含み、服用すると胃腸障害をおこす可能性があるため、現在は服用には使用されていません。
漢方は日本固有の医学ですが、経験則によって成り立っている部分もあり、このように必ずしも身体に有益ではないものが利用されていることも少なくありません。

医療用漢方製剤への使用が認められている植物成分は、全て科学的アプローチによって人体への影響が確認されていますが、一方で効果の認められない非科学的な処方が存在しているのも漢方の実態です。
こういった側面を駆逐していくのも、我々生薬製剤を扱う者の使命だと考えています。

一方でこのサポニンには、別の用途があります。ムクロジの果皮を水と共にボトルに入れて振ると、石鹸のような泡が出てきます。そう、ムクロジの果皮は洗剤として使えるのです。サポニンには界面活性作用があり、汚れを落とす効果があります。ムクロジはソープナッツとも呼ばれ、海外では自然由来の界面活性剤として広く使用されています。国内においても、最近は自然にやさしいエコ素材の洗剤としてムクロジ洗剤が注目されているようです。

 

ムクロジは漢字で「無患子(ムクロジ)」と書きます。子どもが患わない(病気しない)という意味で、羽子板には厄を跳ね除けるという意味があるそうです。お正月に子どもが羽子板をする風習には、歴とした理由があったのですね。羽子板はついていませんが、わが家も一年間無病息災でがんばりたいと思います。皆さま、素晴らしい一年をお過ごしください。

 

(文責:インストラクター 木村 元直)