男性の美肌作り ~スキンケア 洗顔・保湿~

「洗顔」、「保湿」はいたってシンプルなスキンケアです。しかし正しい方法で洗顔、保湿をすることは皮膚科学的には顔の肌の機能を正常に保つために非常に重要となります。 男性の肌状態は男性ホルモンの影響も多く受けるため、正しいスキンケアを行わずして肌を綺麗に保ち見た目をよくすることは難しくもあり、診療の場で美容施術を受けられる患者様にも併せて指導をしています。

洗顔

その方の肌質にもよりますが、基本的には男性用の洗顔料を使い、洗顔料を使って洗顔をするのは1日1回程度にします。
少しぬるいな、と感じる程度のお湯で軽く顔を洗い汚れを落としたら、洗顔料を泡立て、泡を手のひらにたっぷりとのせ、手や指が顔に直接触れぬよう肌を優しくなでるように洗います。シンプルなことですが「ぬるいお湯で」「泡で優しくなでるように」がポイント、守っていただきたいところです。
熱いお湯で洗顔すると余計に皮脂を取り除き乾燥を、強い摩擦で洗顔すると皮膚に強い刺激を与え乾燥や皮膚老化を、といった肌のトラブルを起こしやすくしてしまうからです。
その後のすすぎでは洗い残しのないよう髪の生え際やフェイスラインの裏側までしっかり洗い流し、清潔なタオルで同様に擦らないように顔を抑えるようにして水分を取り除いてください。

保湿

洗顔後の「保湿」はとても大切です。
洗顔後の肌は、水気はあっても皮脂がほとんどない状態です。
「化粧水」で水分を補い、補った水分が逃げないよう油分を含んだ「乳液」で蓋をする、
「化粧水→乳液」。これを洗顔後に必ず行いましょう。

化粧水には角層に水分や保湿成分を補給して皮膚の柔軟と保湿を目的としたもの(柔軟化粧水)と、角層に水分・保湿成分を補うほかに、過剰な皮脂を抑制する成分や肌を一時的に引き締めるという収れん作用をもつ化粧水(収れん化粧水・脂性化粧水)があります。
一般的に冬季は前者を、夏季は後者を使用することが多いのですが、男性の場合は男性ホルモンが肌に影響を及ぼすことが多分にあるため、30代前半までとホルモンバランスが大きく変わり皮脂量が減り乾燥しやすい肌になる30代後半以降でもその使い分けが重要となるのです。
また、男性が毎日行う髭剃りが、肌のバリア機能を担う角層を削ぎ落すため、バリア機能が落ちて水分が逃げやすくなり、角層の水分量が減少して乾燥やかみそりまけ、といった肌トラブルもおこしやすくなります。そのため、髭剃りのあとにも保湿をすることが必要となります。

日々、自身の肌に向き合い、その時の肌状態にあわせた適切なスキンケア剤を用いて、いくつになっても他者を魅了する綺麗な肌を保ちたいものです。

樋口 彩子

Dクリニック東京 メンズ・Dクリニック東京 ウィメンズ 皮膚専門外来医師

帝京大学医学部卒業後、東京慈恵会医科大学付属第三病院にて初期研修を修了。その後、東京慈恵会医科大学病院皮膚科学講座に入局。助教に就任後、Dクリニック東京 メンズ・Dクリニック東京 ウィメンズ、皮膚専門外来を担当。 皮膚科一般診療及び美容皮膚科診療を得意分野とする。 日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本香粧品学会 所属。