男性の肌について 〜肌に関わる生活習慣とは〜

これまでは主に男性独自のお悩みについてアドバイスしてまいりましたが、本章では、男女問わず、お肌に関わる生活習慣についてお話ししたいと思います。

何気なく毎日を過ごしていても、密かに自身の健康を左右する生活習慣。なかでも食事、睡眠、喫煙、ストレス、紫外線は肌の状態に大きく影響を与えます。

私たち皮膚科医は患者さまに生活習慣に関してもお聞きし、美肌への助言を行うことも大切な仕事なのです。

食事

ビタミン(特にCとE)と、たんぱく質は、特にくすみのない美しい肌やハリのある髪の維持に影響する栄養素です。仕事で外食をしがちな男性の多くは、これらの摂取が不足しています。

ビタミン剤やプロテインなど、サプリをうまく利用しながら積極的な摂取を心がけましょう。

睡眠

肌の代謝に関与するホルモンのひとつに「成長ホルモン」があります。

成長ホルモンの分泌には睡眠が深くかかわっており、眠りについてから3時間以内、特に最初の90分間に迎える深い眠り「ノンレム睡眠」の時に最も分泌が多いといいます。つまり、成長ホルモンをしっかりと分泌させるには、少なくとも3時間以上の眠り、また、その間の深い眠りが必須となっています。質の良い睡眠を保つために、就寝前は入浴やストレッチなどで体を温めたりなど、身体がリラックスできるように工夫してみましょう。

喫煙

スモーカーズフェイス」という言葉が存在するほど、喫煙習慣は肌の老化の進行に大きな影響を及ぼすことは一般的にも知られています。たばこに含まれるニコチンが血管を収縮させ血行不良をもたらすために、肌の乾燥を招き、その結果しわの形成を促してしまうからです。さらに、メラニン色素の代謝に深く関わる血中のビタミンCを破壊をすることにより、くすみやシミの悪化にも繋がります。

こうしたことからも、美肌維持に喫煙は大敵だと言えるでしょう。

ストレス

ストレスにより自律神経のバランスが乱れると、血液やリンパの循環を悪くし、肌の乾燥やくすみ、シミやしわの形成を招きます。また皮脂の分泌量にも影響し、ニキビや湿疹の原因にもつながると指摘されています。

ストレスを感じる前に、日常生活の中で気軽に行えるストレス発散方法をみつけられてはいかがでしょうか。

紫外線

紫外線への対策は女性の間では常識となっておりますが、日々診療を行なっていると、男性の紫外線対策はほとんど認識されていないことを痛感します。

紫外線をはじめとする太陽光線は、短時間だけ浴びていれば健康維持につながりますが、無防備に長時間浴びてしまうと肌の光老化を進行させシミ・しわ・たるみ、さらには皮膚がんのリスクを増大させます。

今後のコラムで紫外線の肌に及ぼす影響については詳しくお話をしたいと思いますが、サンスクリーンの使用をされていない方は今すぐ使用開始しましょう!


いかがでしたか?ご自身の「美意識度」はどのぐらいでしたか?
遅すぎることはありません。ぜひ今から、改善に取り組んで欲しいと思います。

樋口 彩子

Dクリニック東京 メンズ・Dクリニック東京 ウィメンズ 皮膚専門外来医師

帝京大学医学部卒業後、東京慈恵会医科大学付属第三病院にて初期研修を修了。その後、東京慈恵会医科大学病院皮膚科学講座に入局。助教に就任後、Dクリニック東京 メンズ・Dクリニック東京 ウィメンズ、皮膚専門外来を担当。 皮膚科一般診療及び美容皮膚科診療を得意分野とする。 日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本香粧品学会 所属。