マスクによる肌トラブルとその対処

新型コロナウイルスの影響で、通勤や通学、買い物、散歩…様々な場面でマスク着用が必須の世の中になってしまいました。長時間のマスク着用に伴い、肌への「擦れ」や「蒸れ」が主な原因となって、肌トラブルも増えています。
ある製薬企業が2020年4月におこなったアンケート調査によると、「今年の春は例年より肌トラブルが増えた」と感じる人は、全体で約3割(31.1%)。年代別では20代が約6割(57.5%)、30代でも約4割(39.0%)に及び、若年層で肌トラブルが増えていることがわかります。

※出典:https://kyodonewsprwire.jp/release/202005280338

いくつか種類がありますので、順に説明していきます。

マスクによる肌トラブル①:ニキビ

マスクが擦れることで皮膚の角層が厚くなり、厚くなった角層が毛穴を塞ぐため、皮脂がつまりニキビになりやすくなります。特に「大人ニキビ」では、症状が増悪しやすいです。更に、マスクをした状態では一時的に「蒸れ」を生じやすく、細菌繁殖しやすい状況となります。そのこともニキビを悪化させる原因のひとつとなります。
ニキビ跡を残さないためにも、早めに皮膚科で治療することをお勧めします。

マスクによる肌トラブル②:肌荒れ

長時間マスクをつけることで、マスクによるかぶれを起こすことがあります。また、マスクが擦れることで症状が悪くなることもしばしばみられます。
マスクの当たりやすい頬や鼻先、口回りで生じ、赤みをもち少しヒリヒリしたり痒みがでることが特徴です。これが、いわゆる「マスク皮膚炎」の症状です。
まずは摩擦の軽減のためたっぷり保湿をすることが大切ですが、炎症(皮膚の赤み)が強い場合にはステロイドの外用薬などの炎症を抑える薬での治療が必要となることがありますので皮膚科にご相談ください。

マスクによる肌トラブル③:乾燥・乾燥性湿疹(皮脂欠乏性湿疹)

マスク着用に伴い、一時的にマスクのあたる部分は潤った状態となるため、保湿をおこたってしまいがちです。しかしながら、マスクをはずした直後は肌表面の水分が蒸発し、一気に乾燥しやすくなります。肌の乾燥に伴い、肌表面のバリア機能が失われ、乾燥だけでなく湿疹がでてしまうこともあります。マスク着用前後の保湿のケアで予防ができますが、湿疹となってしまった場合には保湿のみでは改善しないことがあるため皮膚科にご相談ください。

これらのマスクによる肌トラブルの予防方法として

・ とにかく保湿!マスクの摩擦や着用後の乾燥を軽減させるためにしっかり保湿を行う
・ マスクで汗をかいたらこまめに汗を拭きとる
・ 通気性が良く、摩擦の少ない柔らかいマスクを選ぶ

などの対策をお薦めします。
マスクによる肌トラブルだけでなく、新型コロナウイルスの脅威にさらされているストレスでも肌荒れが悪くなることもあるでしょう。
普段の肌のお手入れ方法を再度見直して、マスクと上手に付き合っていきましょう!

※マスクへの化粧移り防止対策に
化粧がマスクについてしまうことも多いと思います。もしマスクの下でお化粧をされている場合には、マスク自体にベビーパウダーやおしろいなどお粉をふっておくと、マスクに化粧うつりがしにくくなります。ぜひお試しください!

塩味 由紀

協会認定指導員(インストラクター)
皮膚科専門医
日本アロマセラピー学会認定医師