盛り上がる傷あと(肥厚性瘢痕・ケロイド)について

 皆さんは、小さいころに転んだすねの傷あとや腕のBCG の痕が残ってはいませんか?
傷はきれいに跡かたもなく治ってしまうこともありますが、盛り上がった状態で治ってしまい、一生涯消えない傷あとになることもあります。

ケロイドとは

 医学的には、この傷あとのうち傷をしたところだけが盛り上がるのを肥厚性瘢痕とよび、傷をした範囲を超えて時にはアメーバのように広がって盛り上がるものをケロイドと呼びます。

原因

原因となる傷としては、胸やお腹の手術、やけどやケガが多いのですが、ニキビやピアスでも起こることがあります。見た目の悪い盛り上がりだけではなく、痛みや痒みを伴うこともあり、大きな悩みになることもあります。 肥厚性瘢痕・ケロイドの原因はまだ解明できていないところも多いのですが、好発部位と言われるできやすい部位があります。胸やお腹、肩などがそれですが、延びたり引っ張られたりする部分が多いです。また「ケロイド体質」と呼ばれる傷が盛り上がりやすい体質の方がおられ、親子で遺伝することも知られていますが、この体質を変えることはまだできません。

対処方法など

「ケロイド体質」の方は、なるべく傷を作らないように用心することが最も重要となります。体質のない方でも、傷に対して早い時期から適切な治療を施し、細菌による二次感染を起したり、傷を長引かせないことが大切です。治療法としては、ステロイドという薬を注射したり、圧迫を長期間続けたり、レーザー治療などで盛り上がりを減らす工夫をします。痛み、痒みには飲み薬も使用します。しかし、まだ決め手となる治療法はありません。ただ、肥厚性瘢痕もケロイドもなるべく早期の方が治療に反応しやすいので、お悩みの方は一度、皮膚科や形成外科などの専門の医療機関を受診されることをお勧めします。

浅井 幸

日本コスメティック協会 インストラクター
皮膚科専門医、医学博士