肝斑の原因と治療について

肝斑とは

 肝斑は日本人を含むアジア人女性に多く、30~40歳代の両頬にみられる左右対称性の褐色の色素斑です。通常のシミとは異なり境界がはっきりとしないぼやけた印象であることが多く、両頬以外にも額、上口唇、下顎にも色素斑を認める場合があります。
また、下眼瞼を避ける分布をとることが特徴であり、ほかのシミと重なっている場合は診断が困難なこともあります。

原因

女性ホルモンの影響により皮膚でのメラニン色素産生が亢進することが大きな原因とされており、妊娠、ピル内服によって悪化し閉経後に自然に消失することもあります。それ以外にも、紫外線の曝露や洗顔などによる局所での機械刺激で増悪することもよく知られています。

治療

治療としては、徹底した紫外線対策や摩擦を回避する洗顔・スキンケア指導などが重要です。またビタミンCやビタミンE、トラネキサム酸などの内服治療、ハイドロキノンなどの美白剤の外用が有用です。トラネキサム酸の副作用として、下痢、悪心などの消化器症状が認められることがあります。また、血栓傾向がある場合や既往がある場合は内服を中止することがありますので治療開始前に主治医に確認が必要です。
肝斑は再燃率が高く、難治例もありますが、治療を継続していても改善しない場合は、肝斑ではない可能性もあるので、皮膚科専門医を受診し自分のシミがどのタイプのシミかを正しく診断してもらうことが重要です。

山本 晴代

近畿大学皮膚科 非常勤講師
日本コスメティック協会 学術アドバイザー
資格:
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
日本美容皮膚科学会代議員
日本皮膚科学会美容皮膚科・レーザー指導専門医
日本レーザー医学会指導医・専門医
日本抗加齢医学会専門医
臨床研修指導医
日本コスメティック協会インストラクター
所属学会:
日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本レーザー医学会、日本抗加齢医学会