メイクアップの不思議な力

生まれて初めてメイクアップをしたのはいつですか?
七五三やお正月など幼い頃にお母さまから口紅をつけてもらったときですか?
成人の日に初めてメイクアップしたのかもしれませんね。

初めてのときは誰かにメイクアップを“してもらう” 
思春期になるとメイクアップに興味を持ち、“してみる” 
そして、徐々に“したくなる” 

お年頃以降はメイクアップを“しなくてはならない”

そう言われてみれば、「そうそう!」なんて首を縦に振る女性が多いと思います。

メイクの歴史

化粧をするという行為は人類の発祥から始まっています。お猿さんから人類になったとき体毛が無くなり、サバンナ地方の直射日光や乾燥から肌を保護する目的で赤土を体に塗ったことからだそうです。

化粧から現代のメイクアップまで途切れることなく人とともに、時代とともに発展してきたことは感慨深いものがあります。保護目的と宗教目的に加え美的演出や心理作用もできるのがメイクアップです。

介護の現場でのメイクアップ

メイクアップには不思議な力があります。美容の専門学校の学生達とメイクアップサービスをするため老人ホームに何度か訪問したときのことです。アイシャドウやリップカラーのパレットの色に目を輝かせる方がとても多いのです。また、メイクアップを始めたときは緊張されて無口ですが、メイクが進んでいくと同時に緊張もほぐれて「若い頃は○○を使っていた」「今は何もしないけど、昔は○○をずっと使っていたのよ」と若い頃のことを思い出しながら嬉しそうにいろいろなお話をしてくださいます。

ある所では介護士の職員さんが「この方は入居して半年たちますが、今日、初めて笑った顔を見ました。メイクの力はすごい!本当にすごいですね」と感心されていました。確かに、笑いが止まらなくなる方もたびたびいらっしゃいます。
初めての訪問で不安げだった学生達も、その方につられるように笑いが止まらなくなり、全員が明るく楽しい場になることもあります。本当に不思議です。

メイクは身だしなみ

私も毎朝、身だしなみのメイクアップをします。仕上がりを鏡で確認すると「さぁ~、今日もがんばるぞ!」と気構えにもなっています。

体調不良や落ち込んでいる日もありますが、そんな日はまさにメイクアップを“しなくてはならない”状態。
いつもよりチークを明るくしたり、濃いめに口紅を塗ったり、『元気メイク』をします。すると元気が出てきて自信が持てるようになるのです。

是非、メイクアップの不思議な力を感じてみてはいかがでしょうか?

浅野 景子

某モデルスクールにてメイクアップテクニックを修得。その後銀行勤務を経て外資系化粧品ブランドに12年勤務し、スキンケア、フェイシャル、メイクアップの技術を磨く。現在講師を務める美容専門学校では、20年間に渡って2000人を超えるビューティアドバイザーやエステティシャンを輩出。40年に渡るキャリアの中で培った、スキンケア・メイクアップコスメに関する膨大な専門知識を生かし、エビデンスに基づいた教育やセミナーで活躍中。
また数々の教科書やセミナー用ハンドマニュアルなどの教材制作にも携わるなど、後進の育成に邁進している。