ケミカルピーリングとは

1 ケミカルピーリングとは

角質層を剥がす作用のある酸性の薬剤を顔全体に塗布し、肌表面にある古い角質を取り除き、ニキビや毛穴の開き・黒ずみ、シミやくすみ、小ジワなどを改善する治療です。

2 ケミカルピーリングに用いる薬剤

代表的なものに、グリコール酸、サリチル酸(マクロゴール基剤)、トリクロロ酢酸、乳酸などがあります。
これらの薬品を疾患や肌の状態に合わせて、濃度を変えたり、数種類の薬剤を組み合わせて使用します。日本人の肌にはグリコール酸が最もマイルドで比較的安全に使用できるので、多くの施設で使われています。

3 改善が期待される疾患

ニキビ(コメド:白キビ、炎症性ニキビ:赤ニキビ)やシミ(小型の老人性色素斑、ソバカス、肝斑)、また虫刺されや湿疹の後の黒ずみ(炎症後色素沈着)にも効果があります。シワに関しては、深いシワの改善は期待できませんが、ケミカルピーリングを継続することで肌のきめや小ジワは改善されます。

4 改善がみられる理由

ニキビ:皮脂が毛穴に貯留することでニキビのもと(角栓)が形成することから始まります。ピーリングにより毛穴を閉塞させている角質や皮脂は排出され、つまった毛穴は開通するので、ニキビのできにくい肌状態になります。

シミ:ケミカルピーリングによりターンオーバー(肌の入れ替わり)が促進され、表皮内に貯留していたメラニン色素が角質とともに脱落するのでシミ・くすみが改善されます。用いる薬品によっては、薬品が直接メラニン色素に働きかけ、シミを薄くすることも知られています。

シワ:真皮にある線維芽細胞が活性化し、コラーゲンが増加することにより、浅いシワやきめの改善が認められます。

5 ケミカルピーリングの注意点

効果は疾患によって異なりますが、治療には数ヶ月から年単位の期間がかかることが多く、他の治療(エレクトロポレーション、美白化粧品など)との併用が効果的です。
施術後は、角質層が一部剥がれて、紫外線が通過しやすい状態となっています。よって、サンスクリーン剤を施術後5日間くらいはできれば2、3時間毎にしっかりと塗りなおすこと、帽子や日傘などで紫外線対策を心掛けることなどが大切です。
また、角質層の保湿力も低下している状態となるので、乳液やクリーム等でしっかりと保湿することも重要です。

山本 晴代

近畿大学皮膚科 非常勤講師
日本コスメティック協会 学術アドバイザー
資格:
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
日本美容皮膚科学会代議員
日本皮膚科学会美容皮膚科・レーザー指導専門医
日本レーザー医学会指導医・専門医
日本抗加齢医学会専門医
臨床研修指導医
日本コスメティック協会インストラクター
所属学会:
日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本レーザー医学会、日本抗加齢医学会