【対談vol.3】ミュゼ×川島眞~美容業界における実績~

日本初の美容皮膚科専門学術誌「Bella Pelle」での対談「医療と美容、それぞれの脱毛の未来を語る 」から5年(2018年5月発行)。その後の美容業界における『安心』『信頼』『実績』『独自性』『将来性』について全5回に分けて語り合います。

【Vol.3】
「実績」とは顧客がサロン選びの際に重要視する指標の一つ。実績とは顧客からの評価であり、PRなどにも活用できるものである。脱毛サロンのリーディングカンパニーであるミュゼプラチナムはこれまでの実績をどのように評価し、活かそうとしているのか。日本コスメティック協会理事長の川島眞氏が株式会社ミュゼプラチナム執行役員の鎌田真理子氏にインタビューを行った。

脱毛サロンとしての実績

川島
今回は実績をテーマに、お話を伺っていきたいと思います。まず、5年前に対談した時点で会員数は330万人と伺いましたが、現在の会員数を教えてください。

鎌田
現在会員数は435万人(2023年6月末時点)となっています。

川島
およそ100万人増えているのですね。ミュゼプラチナムは100円で脱毛サービスを提供している点でも他社に比べて会員数は増えやすい傾向があると思います。しかしながら100円だけでは経営が成り立ちません。実際のところどれだけの人がキャンペーン以外の契約にいたっているのですか?

鎌田
おっしゃる通り、私たちの中で100円のキャンペーンは、ミュゼプラチナムを知り、脱毛というサービスを体験していただくためのものです。何度か通う中でサービスに満足いただき、会員様の約70%はキャンペーン以外の契約もしていただいています。

川島
かなり多くの方がサービスに満足しているということですね。結果的に180店舗を展開し、売り上げも業界No.1※です。業界内で圧倒的な地位を築き上げたわけですが、ミュゼプラチナムはこの実績をどのように活用しているのですか?

鎌田
広告やPRなどで活用しています。今は脱毛を取り巻くネガティブなニュースもたくさん見受けられますが、だからこそ業界No.1※というのはお客様に安心感を与える要因だと感じています。また、スタッフにとってもNo.1に恥じないようなサービスを提供しなくてはならないという気持ちにつながっています。

川島
会員数が今も伸び続けている理由は、消費者からの信頼が厚いということです。脱毛に関するネガティブなニュースが多く、また御社の100円キャンペーンは安すぎて怪しい、と疑われるかもしれない状況で、信頼を勝ち得ているのはサービスの素晴らしさでしょう。その結果、さらに実績が積み重ねられることになり、一層の信頼につながるという好循環が起こっているのですね。

従業員への影響

川島
先ほど従業員の話がでましたが、売上や通いやすさといった心理的な安心感は、従業員が果たす役割が大きいと思います。ノルマがない中でどのように売上を作っているのでしょうか?

鎌田
売上に関しては、美容脱毛という回数が必要な脱毛だからこそ、来店いただくたびにお客様とコミュニケーションを取り、信頼関係を築いています。100円のキャンペーンでスタートいただいた方は両ワキとVラインが回数無制限で通っていただける契約の方がほとんどで、ご来店いただくたびにスタッフと対面で信頼関係を育むことができます。
また、お客さまに喜んでいただくためにスタッフがどう考え、どう接客するべきかという行動指針があり、その考え方がスタッフに浸透しているということも大きいです。20周年を迎え、歴代のスタッフから受け継いできたミュゼの考え方やお客様との向き合い方、マインドを整えることで常に“お客さまに必要なものは何か”、“今の肌悩みは何か”、“どうしたらもっと理想に近づけるのか”を考えながら接客することができ、お客さまの立場に立った提案だからこそ重要性や必要性が伝わり、自然と売上にも結び付いています。

川島
キャンペーンでのお試しというと1回のイメージが多いですが、回数無制限であれば顧客との接点も増え、信頼関係を築いた上で次のサービスを提案できるというのは大きなポイントですね。会社としての戦略とミュゼの想いがよくマッチしていると思います。さて、この実績をさらに高く積み上げていくためにはどんなことが必要と考えていますか?

鎌田
常にサービスレベルの向上が大切だと考えています。ミュゼは指名制度を導入していませんが、全国どこの店舗に行っても接客レベルや技術レベルが一定以上であることを強みにしています。そのため入社時の新人研修だけでなく、定期的にキャリアに応じた研修を行っています。また、お客様との会話内容や困りごとをすぐに確認ができるお客様情報を共有できる電子カルテへの投資もしっかり行うことが重要です。

川島
研修制度やシステムという土台が非常に有効に機能しているのですね。以前も電子カルテを活用していると話されていましたが、システムが有効的に機能し、顧客情報の共有ができているからこそ、全国で同じレベルの接客を提供し、誰が担当になっても実績につなげられるということですね。

最近の脱毛サロン

川島
最近はジムやセルフサロンなどでも美容脱毛の機械が置いてあるなど、サービスも多様化してきました。それについてはどう思っていますか?

鎌田
ジムやセルフサロンの場合、まず懸念されるのは安全性です。私たちはお客様に脱毛サービスを提供するためには安全性試験の合格を条件としています。また、肌の知識を深めるためにスキンケアマイスターの取得などあらゆる努力を積み重ねています。例えばジムは運動する場所ですし、おそらく付加価値として脱毛サービスを提供していると思うのですが、毛を目立たなくするという目的は同じでも、そこにいたる過程は全く別物だと思っています。やはり肌や毛に関する知識を持ったスタッフが、お客様としっかり信頼関係を作りながらサービスを提供し、一緒にゴールを目指して喜ぶことを私たちは大切にしたいですし、その実績を育てていきたいと考えています。
お客様にとっての喜びがスタッフの自信となり、成功体験として後輩に指導ができます。お客様にも育てていただきながら、ミュゼの脱毛と接客を選んで来てくださる方が増えていくことが理想です。

川島
ミュゼの理想とするサービスにおいては、ジムやセルフサロンは競合にならないのかもしれませんね。また、実績というのは一朝一夕にはできません。よく積み重ねるという表現を聞きますが、御社の場合は育てるという表現がピッタリだと思います。顧客だけでなく従業員をも愛情を持って育てている様子が伝わってくるお話でした。

次回は美容業界の「独自性」をテーマにお話を伺います。

※東京商工リサーチ調べ(2022年7月調査時点/美容脱毛売上比率50%以上を専門店と定義)

川島 眞

東京女子医科大学名誉教授
日本コスメティック協会理事長
東京大学医学部卒業。パリ市パスツール研究所に留学、東京大学医学部皮膚科講師を経て、東京女子医科大学皮膚科主任教授に就任。アトピー性皮膚炎をはじめ、美容、皮膚ウイルス感染症、接触皮膚炎などを主に研究。
日本美容皮膚科学会理事長、日本香粧品学会理事長などを歴任。平成30年に東京女子医科大学名誉教授に就任。現在、日本コスメティック協会理事長、医療法人社団ウェルエイジング名誉院長、東京薬科大学客員教授を併任。

鎌田真理子

株式会社ミュゼプラチナム
執行役員、教育部部長
大手エステサロンに入社後、ヨガを本格的に学ぶべく海外に留学。2007年エステティシャンとしてミュゼプラチナムに入社し、おもてなしの接客ときめ細やかなサービスでお客さまの信頼を集め、店長、エリアマネージャー、ブロック長、営業部部長を歴任。201610月より、エステティシャン出身者として当社初となる執行役員に就任。また2015年、2017年ミス・ユニバース・ジャパン ファイナリストBC講師、2016ミス・ユニバース・ジャパン日本代表公式コーチとして指導を行った実績を持つ。現在では教育部の責任者として、3,000人を超えるスタッフへ「おもてなしの接客」を伝えている。