【対談vol.4】ミュゼ×川島眞~美容業界における独自性~

日本初の美容皮膚科専門学術誌「Bella Pelle」での対談「医療と美容、それぞれの脱毛の未来を語る 」から5年(2018年5月発行)。その後の美容業界における『安心』『信頼』『実績』『独自性』『将来性』について全5回に分けて語り合います。

【Vol.4】
美容脱毛サロンは参入のハードルが低く、特に都心部ではいたる所に美容脱毛サロンがある状況だ。競争が激しい業界では、他社との差別化を図るために「独自性」を追求することが求められる。業界最大手のミュゼプラチナムでは、どのように独自性を出しているのか。日本コスメティック協会理事長の川島眞氏が株式会社ミュゼプラチナム執行役員の鎌田真理子氏にインタビューを行った。

美容脱毛サロンとしての実績

川島
今回は独自性をテーマに、お話を伺っていきたいと思います。ミュゼプラチナムは2018年時点でも脱毛以外のサービスを提供していたと思いますが、おさらいのためにも、もう一度提供しているサービスについて教えてください。

鎌田
はい。脱毛の提供がメインではありますが、それ以外にもお客様の抱える肌悩みを解決するために、オリジナルコスメの販売や、ECサイトの運営、最近ですとメンズ脱毛の提供を行っています。また、レディースとメンズでフェイシャルエステの提供もスタートしました。このフェイシャルエステ導入を足掛かりとして、総合エステティックサロンへ向けて、これまで以上にお客様のニーズに応えていきたいと考えています。

川島
ミュゼプラチナムに来店する人は、美容意識も高いでしょうし、フェイシャルエステとの相性はいいかもしれませんね。いつからフェイシャルエステの提供を開始したのでしょうか?また、顧客からの反響はいかがですか?

鎌田
一部の店舗では昨年5月よりフェイシャルエステを試験的に導入し、満を持して今年7月から全国のサロンで提供を開始しました。1カ月で約2万人の方に体験していただき、お客様からは「肌がしっとりした」や「化粧ノリがよくなった」といったうれしい言葉をいただき、大変ご好評をいただいております。

川島
かなり多くの人が体験しているのですね。総合エステティックサロンの足掛かりと先ほどおっしゃっていましたが、“ミュゼ=脱毛サロン”というイメージから“総合エステティックサロン”に変化していくことを目標にしているのでしょうか?

鎌田
脱毛以外でも“お客様の綺麗になりたい気持ちをサポートしたい”という想いで、新しくできることはないか常に検討しています。エステは高価なイメージを持たれる方も多くいらっしゃいますが、ミュゼならではの手ごろな価格で提供できるように企画開発を行い、実際に初めての方もスタートしやすい価格帯での提供ができています。今後もミュゼで提供できるメニューは、積極的に取り入れていきたいと考えています。

川島
総合エステティックサービスとして高価格帯でのメニュー提供ということではなく、これまでのミュゼプラチナムの考えに則ったうえで進化しているのは、素晴らしいことですね。

周辺事業について

川島
ミュゼプラチナムでは脱毛事業以外にもさまざまな事業を展開していますが、脱毛以外の事業に力を入れる理由はなぜでしょうか?

鎌田
ミュゼは、“女性のキレイ”を応援する企業として、
サロンでは、ミュゼオリジナル化粧品の販売やECサイトでの展開、さらにメディカル事業として美容クリニックや歯科医院の運営サポート業務も行っています。
周辺事業を育てていたことで、コロナ禍でミュゼに来店するお客様が少なくなってしまった際に、ECサイトに主軸を移すなど、経営戦略の幅も広がるためです。今後も周辺事業を育て、ミュゼ会員さまはお特に他のサービスを利用することができるなど、企業としての価値も高めていきたいと考えております。お客様にとってミュゼという名前が“信頼”や“安心”へとつながるよう、まだまだ奮闘しているところです。

川島
医療分野のサポートも行っているのですね。サービスの概念が少ない分野ですが、ミュゼがどういった面から携わっているのですか?

鎌田
接客やサービスという概念が少ない医療機関に、ミュゼがこれまで美容脱毛サロンとして培ってきたおもてなしの心や接客接遇のノウハウを提供しています。教育やサービスの概念を提供するうえで、お客様に確かな技術と感動レベルの接客を提供することを目標としているので、ミュゼの想いに賛同していただける全国の歯科医院や、美容クリニックにてミュゼブランドの提供も行っております。

川島
医療業界でもミュゼの接客接遇の考えを伝えていくというのは、医院経営においてプラスになることが多いのでしょう。なにより、ミュゼというブランドを活かすことができるというのは、集患においてメリットがありそうですね。

メンズ

川島
ここ数年は男性の美容脱毛にも力を入れているそうですが、男性脱毛のニーズは増えているのでしょうか?

鎌田
“美容男子”という言葉があるように、多くの男性が美容に興味をもっていることから、メンズ脱毛も一定のニーズがあることは分かっていたのですが、近年さらにメンズ脱毛のニーズを感じ、2021年よりメンズ脱毛事業を開始しました。現時点で全国に18店舗(2023年8月末時点)を展開しています。今後も新店舗出店が控えており、事業拡大の途中となりますが、これまでミュゼが培ってきた接客接遇の経験を活かし、脱毛やフェイシャルメニューを提供しています。

川島
メンズ脱毛においても他のサロンとの違いはありますか?

鎌田
他のメンズ脱毛サロンは、女性が施術することもあるようですが、我々は男性スタッフが施術を担当しています。同性同士だからこそ安心してお手入れを受けていただけたり、悩みに寄り添うことができると考えているので、男性スタッフを一から教育しています。ただ、サロン運営やカウンセリングなどは、これまでミュゼプラチナムが培ってきたノウハウもあるため、近隣サロンの女性カウンセラーが担当する場合もあります。

川島
男性スタッフも女性と同じように美容の知識の勉強をしているのでしょうか?教育していくうえで苦労はありますか?

鎌田
美容の知識や関心が高い男性スタッフも多く、吸収や成長も早いです。メンズ事業は店舗拡大中のため、脱毛技術メインで育成していますが、ゆくゆくは肌の知識や専門知識をしっかり身に付け、接客に活かしてほしいと考えています。また、将来的にはスキンケアマイスターやコスメマイスターなどの取得に挑戦してほしいと思います。

川島
ミュゼは“お客様のために綺麗のお手伝いをしたい”というコンセプトを軸にさまざまなサービスや事業を展開しており、美容脱毛業界の中でも独自性が強いブランドだと感じます。美容脱毛が一般的になってきたからこそ、他の企業を後追いするのではなく、自分たちで進化し続けていくというのが大切ですね。

次回は美容業界の「将来性」をテーマにお話を伺います。

川島 眞

東京女子医科大学名誉教授
日本コスメティック協会理事長
東京大学医学部卒業。パリ市パスツール研究所に留学、東京大学医学部皮膚科講師を経て、東京女子医科大学皮膚科主任教授に就任。アトピー性皮膚炎をはじめ、美容、皮膚ウイルス感染症、接触皮膚炎などを主に研究。
日本美容皮膚科学会理事長、日本香粧品学会理事長などを歴任。平成30年に東京女子医科大学名誉教授に就任。現在、日本コスメティック協会理事長、医療法人社団ウェルエイジング名誉院長、東京薬科大学客員教授を併任。

鎌田真理子

株式会社ミュゼプラチナム
執行役員、教育部部長
大手エステサロンに入社後、ヨガを本格的に学ぶべく海外に留学。2007年エステティシャンとしてミュゼプラチナムに入社し、おもてなしの接客ときめ細やかなサービスでお客さまの信頼を集め、店長、エリアマネージャー、ブロック長、営業部部長を歴任。201610月より、エステティシャン出身者として当社初となる執行役員に就任。また2015年、2017年ミス・ユニバース・ジャパン ファイナリストBC講師、2016ミス・ユニバース・ジャパン日本代表公式コーチとして指導を行った実績を持つ。現在では教育部の責任者として、3,000人を超えるスタッフへ「おもてなしの接客」を伝えている。